「近江牛」生産・流通推進協議会

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トム・ヴィンセントのコラム

Discovering Omi Beef

伝統ある近江牛が、新たな一歩を

父から息子へ

伝統ある近江牛が、新たな一歩を

400年以上の歴史があり、将軍への献上牛でもあった近江牛。 三大和牛の中で最古の和牛である近江牛の今後を担っていく若手牛農家たちは、何を見て、何を目指しているのでしょうか。

滋賀県の東、近江八幡の近くにある大中地区で拝藤牧場を営む肉牛農家 拝藤達也さんを訪ねました。

「三代目になります。祖父がちょっと牛を飼って、父の代で拡げて、僕の代でそれを引き継いでいます。

後を継ぐという気持ちは一切なかったんです。元々は病院で働いていたんですが、 若手の漁師さんが頑張っている姿をテレビで観たのがきっかけで戻って来ました(笑)。

長い歴史があって近江牛があるのに、長男の僕が帰らなかったら、ひとつの牛舎が無くなって、名前の知られたブランドである近江牛も減るし、 やっぱ帰って頑張ろうかなあって。最初はそんな軽い気持ちでした」

拝藤さんは、8年前に近江牛農家である実家の家業に就き、1年前にお父様から経営を引き継がれました。 後継者不足と言われる一次産業では珍しく、 近年、この地域では、畜産農家の約4割で専業後継者が誕生しているとのことです。

「元々父の世代がこの大中で『牧友会』という団体を作っていて。 後継者が多くなったので、名前を変えて『ウシラボ』にしたんです。 全員大中地区の牛農家で、今、12人。一番上が40歳位で、僕と同じ位の33、34歳が多いですね。

子牛や餌の値段が上がって…僕らみたいな肥育農家は真っ先に潰れていくんじゃないかなあって、 親父さん世代より若手の方が危機感を持っています。

近江牛の定義も、今は飼育期間がベースとなったものですが、さらに進めて、 消費者の皆さんにもっと近江牛の良さをわかっていただけるような明確な、 具体的なものにしていく必要があると思いますね」

伝統ある近江牛が、新たな一歩を

大中地区の若手肉牛農家たちが集まって2012年7月に活動を開始した、近江大中肉牛研究会「ウシラボ」についてお聞きしました。 「ウシラボ」とは、「牛」と研究室や実験室を意味する「ラボラトリー」の造語。 優れた肉牛づくりの研究や勉強会、近江牛の宣伝活動なども広く行っていく予定とのことです。

「まだそれほど活動はしていないんですけど、枝肉を作る勉強を兼ねての研究をしています。 どういったものを餌に使ったら、肉にどういった効果をつけられるかとか。 昨年末には、餌にビタミンCを加えることで牛の健康や牛肉にどのような良い影響が見られるかをテーマに京都大学と共同で研究をしました。 こういったことを今後も続けて、サシを入れるというよりは、どうしたら味が良くなるかを研究していきたいと考えています」

「美味しい」を求める

伝統ある近江牛が、新たな一歩を

「今は子牛を仕入れて肥育していますが、これからは繁殖も始めようとしています。 当面は繁殖した子牛の販売を行いながら、ゆくゆくは繁殖から肥育まで一貫してやっていきたい。 肉質がいい種とかつけたりして、自分で何でもできるんで、いろんなチャレンジできるのかなあって。 滋賀県生まれで滋賀県育ちとして売っていきたい。 近江牛は脂の質もいいし、味を高く評価されているので、更にそのもうひとつ上にいけるんじゃないかって思っています」

ウシラボの若手肉牛農家は、先代から伝えられた肥育技術に加え、今後は繁殖・肥育一貫経営にすることをひとつの目標しています。

マザーレイクと称される美しい琵琶湖の水を引き、近江盆地に大きく広がる水田。 平らな、風通しの良いそこに点在する牛舎の中でゆったりと育てられる牛たち。

訪れたその日も、日本では数少なくなった削蹄師による蹄の手入れが一頭一頭丁寧に行われていました。

「この地域の稲作で出たワラを肉牛の肥育に使っています。そして、牛の糞は肥料として使ってもらっています」

大中地域では稲作農家と肉牛農家の耕畜連携も行われています。 牛糞が肥料になって良質な稲ができ、藁が牛の飼料となる…生産者が見えるこういった循環が、結果的に、近江の特産物の信頼性へと繋がるのかもしれません。

最後に、牛農家の一番良いところは?と聞いてみました。

「やっぱり自分の作った牛を食べてもらって、美味しいって言ってもらった時です。 賞よりも何よりも、『君んちの牛、美味しかったで』って言われることが一番」

消費者と生産者が喜んだ顔が目に浮かぶこの答えの中に、伝統ある近江牛の新しい時代へのヒントがあるように感じました。

未来を形作る、伝統

この連載で近江牛の美味しさの理由を探ってきましたが、その中でも随所に登場する「環境」の話がとても印象的でした。 京阪神の水源である琵琶湖の水質を守るために、他府県に比べ滋賀県の環境基準は厳しいそうです。 そのためなのか、実際の水質や環境の良さのみならず、生産者たちの環境への強いこだわり意識を感じました。

肉牛として日本一の歴史を誇る近江牛。そして近江から各地へと流通を担った博労(ばくろう)。 長い歴史の中で磨かれてきた肥育技術。 水、空気、土などの環境———それら全てが牛農家たちの誇りとこだわりになっているのではないでしょうか。

消費者の嗜好傾向も時代によって変化しますが、それに対応できる技術力と精神を持つ滋賀県の肉牛農家たち。 古きを守りつつ常に革新を創造していった近江商人たちの伝統が、近江牛づくりにも脈々と続いているのかもしれません。

伝統ある近江牛が、新たな一歩を

日本一の環境基準を持つ滋賀県で農業を営む
ファームタケヤマ 竹山勉さん

丁寧な仕事をすると、品質が上がる。品質をあげると、高値でも欲しい人が現れる。

日本一の環境基準を持つ滋賀県で農業を営む

近江牛の牧場を訪ねると、牛たちの人懐っこい穏やかな表情に出会う。 それはおそらく、ストレスなく過ごせる環境のせいなのではないだろうか。

では、なぜ、滋賀県は牛の飼育に向いている地域なのか、 その理由を探るため、滋賀県蒲生郡竜王町にあるファームタケヤマの竹山勉さんを訪ねた。

養鶏(採卵)農家の長男として生まれた竹山さんは、30歳過ぎにUターン就農をし、ファームタケヤマを起業。 お父様が採卵業を営んでいた跡地にぶどう園を開設し、現在では近隣の農地を借り受け、米、麦、大豆、野菜を大規模に生産している。 竹山さんは小学生の農業体験、取引き先や消費者向け農業視察などの受け入れにも熱心だ。 水田では25haで数種のうるち米、5haで酒米を栽培し、近隣地域を中心に出荷を行っている。

竹山勉さん

「従業員にも子どもたちや若者にもかっこいいと思われる農業にしていかないと」と語る竹山さんの田畑や設備も、美しく整頓されている。

「『松の司』の松瀬酒造さんも、昔は(兵庫県)東条の山田錦を使ってたんです。 今でも東条の米は使っているようですが、竜王の米は『環境こだわり米』にしてきたっていうのもあって、 東条の山田を抜かすくらいの品質レベルになっている。 現在では竜王の米も松瀬酒造の原料に多く使われています」

環境こだわり米とは、滋賀県が定めている食品の安全・安心と環境保全のための「環境こだわり農産物認証制度」に基づいて生産され、 認定された米。竹山さんの地域を管轄するJAグリーン近江では、平成13年度産から積極的な取り組みが開始され、 昨年度は管内で約2,700haで実施されるなど、年々その活動は活発化している。
http://www.jagreenohmi.jas.or.jp/about/toresa05.html

「僕らは取引している方や杜氏さんとお話しして、どういう米が欲しいかを聞く。 実際にその方が田んぼに来て、田んぼ見て、株を触って『今年の出来はええな』とか『悪いな』って見て回る。 なので、田んぼの中で『良い山田錦をつくらにゃあかん』って思いますよ」

竹山さんの米づくりは、取引先の期待と厳しい目にも支えられているようだ。

「生産コストを抑えて規模拡大っていうのもありかもしれへんけど、品質を上げて、買い手から求められる米を作る。 その結果、米が高く売れる。そういう米づくりをしていったらいいんじゃないかなって思う。

あと、米袋に関しても、農協の検査の時、プロ農家としてのポリシーとして米袋を綺麗にくくって、綺麗に並べる。 検査員さんは米袋のくくり方や積み方を見れば、この人がどういう思いをもって米を作っているか分かるので、 検査前に米の品質は大体分かりますって言われますよ。

僕らも先輩らに綺麗に管理しろってよく言われました。 なかなか忙しくて回れないだろうけど、田んぼの畦も草ぼうぼうにせんと、田んぼを守ってる、愛情込めてるって意識が仕事に伝わってくるんで。 自分もそうして来たし、従業員らにも『見せる仕事をせえ』って言ってるんです」

愛情と誇りを持った環境づくりは、上質な作物と上等な牛を生む。農業と近江牛の生産に共通する作り手のこだわりを強く感じた。

滋賀の環境基準は日本一。減農薬、有機栽培を経て、無農薬栽培へ。

滋賀の環境基準は日本一

「減農薬、減化学肥料の栽培の中で、苦労する点はどうですか?と聞かれても、取り組み始めたのはもう10年位前の話かな。 既にスタンダード化している時代だと思いますよ。

環境こだわり農産物認証制度ができて、県の目標は50%だと思うんですけど、 竜王は今、水田植え付け面積の65%位が環境こだわり認証なんですよ。 東近江の管内ではトップだと思います。で、県の中でもトップの地域かな。

全国と比べても、滋賀県はそれが当たり前に近づいてますし、さらに厳しく生産している人もいる。 全国ではまだそこまでじゃないはずですよ。

各府県で基準を設けてますけど、滋賀県は元々琵琶湖を抱えているんで、農薬の基準が、他の県に比べたら元々厳しい。 その中での半分ですからね。

もうひとつ、他の府県さんと違うのは、そこに『環境』が付く。 京阪神の水源の琵琶湖の水質を守るための環境っていうのが滋賀県独自のものだからね」

国内最先端の認定基準を設ける滋賀県内の生産者の前向きで積極的な取り組みは、年々活発になっている。

田んぼが見える食卓。
環境を守り、文化を伝える農業。

滋賀の環境基準は日本一

「米っていうのも、食べやる人の年齢層や好みによっていろいろ違うと思う。 炊くとか、炒めるとか調理によってもどの米がそれに向いてるかってあるしね。

一般的な話ですが、子育て世代は、子どもが好きっていう米の種類を購入する家庭が多いみたいです。 学校給食で食べてる米。そこなんですわ。 竜王町の給食センターはひとつなんで、話がとんとんと進んで、平成15年の給食から、環境こだわり米のコシヒカリにした。 農業体験とかも、教育委員会のお手伝いさせてもらったりしてます。

やっぱり教育とも繋がっていかないと、『食』っていうことは大事なことちゃうんかな、とは思いますね」

竹山さんは食育にも熱心だ。それは、米の良さを若い世代に伝えたいということだけではない。

「僕は、この会社の理念でもありますけど、田園風景を残していきたい。 緑を残していくためにも、田んぼを、日本の米文化を残していかなあかんって思う。 田舎とかにあるお祭りは、米とか五穀に大きく関わっている文化的なもの。

あとは水や自然を守って行く上でも田んぼは必要不可欠と思う。それを守って行くのが農家。

ある国会議員さんに『農業を文化とするか、産業とするか』って聞かれたことがあった。 でも、それはどっちでもないやろって。両方掛け合わせた中で考えていかなきゃあかんのじゃないかなって。 文化遺産としてやっていかなきゃあかんことだと思うし。 そして、やっぱり食として、きちんと食べて、人の胃袋と生活を潤うお米づくりであってほしいなあって思う」

環境に優しい農業は、当然ながら、コストも手間もかかる。 竹山さんは、その労力を苦とせず「スタンダード」にし、更には「無農薬」の段階にも入っている。

農業を通じて生産者ができること。美味しい作物であることはもちろんのこと、竹山さんの取り組みは、それを遥かに越えたところにある。

環境に配慮した生産は、安心安全で質の高い農畜産物に繋がり、私たちの健康と上質な生活に直結する。 そのための厳しい基準を設ける滋賀県は、美しく豊かな土づくり水づくりから始める農業を実現させている。 環境保全と農業との共生。これまでに出会った近江牛の農家も同じ思いを持っていた。それは近江牛の美味しさにも繋がっているようだ。

環境を守り、文化を伝える農業

伝統と独創性の作家。信楽の陶芸家 澤克典

滋賀県の誇る長い歴史と文化。日本六古窯のひとつ信楽焼。

和牛として最も古い400年の歴史を持つ近江牛。 日本の牛食文化の発祥地とされる滋賀県で近江牛と同じく伝統を継承する信楽焼の陶芸家、澤克典さんを訪ねた。

滋賀県甲賀市信楽。日本六古窯のひとつであるこの町に入ると、今尚残る窯の煙突があちこちに見えてくる。 量産品を製造する窯や売店の並ぶ大通りから住宅地の路地を入ったところに澤さんの工房と窯がある。

澤克典さん

「焼き物では四代目ですね。作家としては父からですけど、代々信楽です。 祖父はこういう伝統的なのじゃなくて、火鉢を作る会社をやってて、その前の曽祖父は、生屋(なまや)って言って、 昔は分業だったので生地だけ作ってた。

僕は陶芸の訓練校に行って、その後、愛知県の鈴木五郎さんに弟子入りしました。 絵付けの部分は五郎さんのところで勉強して、今は信楽焼とその両方を作っています」

独創的な作風で知られる陶芸家・鈴木五郎氏に師事した澤さんは、 現在、師から学んだ絵付けの作品づくりを続けながら、伝統的な信楽焼も制作している。

「伝統的な信楽焼の一番の特徴は、釉薬をかけずに薪の窯で焼くってことですね。 ほとんどの産地は桃山時代から始まり、茶道具を作っていたんです。 信楽では昔は大きい壷や瓶などの雑器ばかり焼いていたので、多分、穀物の種などを入れるためには、多分、無釉の方が良かったんですよ。

あと、信楽は白い土が多い。ほとんどの産地は赤い土ですね。 鉄分の少ない土が採れたっていうのが、信楽のもうひとつの特徴です。

色がついてるのは、松の灰が反応したもの。 窯の中で灰が当たると赤やグリーンになり、裏側の全く灰が当たらない部分は土の色なので真っ白。 そして溶けた灰を急冷するとガラスっぽくなるんです。

信楽焼

窯のどこに詰めればどういう感じに仕上がるとかある程度はわかるけれど、計算できないので同じものは焼けないです。 それがいいのか悪いのかはわかんないですけど。いいのが出るかな、って窯開ける時が一番楽しみですね」

窯の火、灰のかぶり方、冷え方…ある程度は出来映えを予測して作る訳ですが、 最終的に結果がどうなるかは自然が決める。

牛の血統、水、エサ、そして飼育環境に至るまでこだわり抜いて近江牛を育てる。 それと同時に、出荷後の牛肉の出来を予測する知識と経験を持っていることが優秀な牛農家だという話を聞いた記憶が蘇った。

技法は伝統だけど、自分らしい雰囲気を作りたい。

信楽焼

「桃山のものって、どこの産地のものを見てもすごく斬新なんですよ。このデザイン古いなって思わない。

使って成長しているということもすごくあると思うんですよ。 なので、自分のものも使ってもらいたいってのがあるんですよ。

もし、桃山の良いって言われているものを焼き直すと、全く違うものになると思う。 焼き直しても形は変わんないじゃないですか。 でも、貫入(かんにゅう)や釉には使われて来た年月が入っているから、 焼くことで有機物が燃えてなくなって、まっさらになると見え方が全く変わってくると思うんですよ」

淡々と語りながら、信楽の土味を生かした大小様々な作品が所狭しと並ぶ工房で、自作のカップにコーヒーを注いでくれる。 それまで「静」だったものたちに湯気の立つコーヒーが入った瞬間、作品たちが呼吸を始めたように感じた。

同じ近江の土が生んだ陶器と近江牛。この力強い作品に盛りつけられた近江牛を想像すると楽しくなる。

信楽焼

「その当時のデザイナーが凄かったんだと思いますよ。 織部と唐津など全然離れた場所にあるじゃないですか。流通とかネットもないから見れないでしょ。 でも、昔のものを見ると、全く同じ絵付けとかデザインのものとかあるんですよ。あれ、絶対に京都発信で作ってるんですよね。 桃山は、おそらく京都から作らせていると思いますよ。お茶道具が昔は格式高かったですからね。 ほんの一部の人だけ相当お金かけて、自分の身のまわりに置くものを大事にしていたので、いいものじゃないと恥ずかしかったんでしょうねえ。 商売というよりは、愉しんでたんでしょうね」

現在では世界中で知られる黒毛和牛の三大ブランドである近江牛が、明治時代に近江から全国各地へと広がった背景には、「博労(ばくろう)」と呼ばれる名プロデューサーの存在がある。 その当時、需要を伝えたり流通を開発した人、今でいうプロデューサーやデザイナーが、陶器の世界でも活躍していたのだろう。

「信楽焼って、一旦、全部なくなってるんですよ。 京都の樂家でも15代樂ですし、萩でも15代美輪とか、大体桃山から続いてる。でも伝統的な信楽は古くても4代目。 信楽は江戸になると瓶とか壷の時代になり、明治くらいからは実用の火鉢などの生産が盛んになり、量産化されて庶民にも流通するようになった。 そして戦後くらいから全国的に伝統的な陶芸を復興させようと動き出したんですよ。

今は伝統系で残って行くものもあれば、全く違うアートの焼き物として残って行くものと、ふた通りあるような気がしますね。

日本文化とか伝統がどうとかじゃなくて、自分のやりたいことをする。多分、今はそういう時代だと思いますよ。 伝統をリスペクトしながら、自分らの時代に発信できるものを作る。 技法は伝統だけど、自分らしい雰囲気を作りたい」

創業200年以上続く老舗が世界一多い日本。何代と続く老舗は近江牛生産者にも多い。 生活も変わり、人々の嗜好も変化し続ける。伝えられて来た技を活かしつつ、常に新しい試みを必要とされる時代なのかもしれない。

信楽焼

コウケンテツ氏と世界が求める和牛 Omi Beef

コウケンテツ氏と世界が求める和牛

銀座にある高級近江牛専門店「祇園ほそわり」で、料理研究家のコウケンテツ氏と近江牛についてお話ししました。 日本、韓国、アジア各国を食べ歩いて家庭料理を研究してきたコウ氏。 和牛の中で、最も長い歴史と文化を持つ近江牛ですが、「近江牛こそ、実は今世界が求める新世代の和牛」と、コウ氏は語ります。

和牛、韓牛、近江牛

コウテンケツ氏

トム(以下、T):料理研究家として、いろんなことをなさっていると思うんですけど、近江牛関係なく、今一番ご興味お持ちのことって何でしょう?

コウさん(以下、K):昔から変わってはないんですけど、家庭料理の良さを広めたいという活動をよくしているんですね。 家族と一緒にご飯を食べるであったり、子供と一緒に料理を作るであったり...食べ物で、料理で人がつながっていくという活動を一番メインにやらせてもらっています。

T:家庭料理ですね。コウさんのおうちは韓国料理?

K:子どもの頃は韓国料理が多かったですね、やっぱり。 でも、母も料理がすごく好きなので、日本料理を作ったり…。 日本の家庭料理って、いろんな国の料理を作るので、その中でいろんな料理を覚えていったってことですね。

T:家の中の「牛肉」はどんな感じでした?

K:韓国なので牛はよく使うんですよね。 日本ではあまりやらないんですけど、まずは、牛で出汁を取る。牛肉で出汁を取るってよくやるんですよ。

T:牛の出汁ってどうやって取るんですか?

K:牛の出汁はスネとかですね。昔の本当の韓国料理はそれを煮るところから始まって、牛の出汁と昆布を合わせたりとか。

T:へー、牛と昆布?おもしろい!

K:それでキムチを作ったり。牛の出汁が一番ベースになるんです。 お店の韓国料理屋さんのスープの、あの深みが出るのは、やはり牛の出汁なんです

T:そうだったんだ!韓国の牛肉の感じってどんなですかね?

K:やっぱ、赤身、ですかね。
和牛っていうのは、世界で見ても、特殊なものになると思うんですよね。サシがあそこまで入ったものは、海外ではそんなに重宝されないですし。 しっかりした赤身の美味しさっていうのが特徴だと思うんですね。 韓国に韓牛っていうのがありまして。

T:韓牛ですか?

K:そうですね。韓国の古来の。今はオーストラリアとかいろんなところからも肉が入って来ていて、韓牛ばかりじゃないですけど、それを復活させようっていう動きがある。

T:味が違うんですかね?

K:ええ。やっぱり、赤身の美味しさってありますね。あと、出汁が出やすいという特徴がありますね。スープにした時、本当に美味しいですねえ。

近江牛の出番

T:ご自分で初めて和牛を食べたのって覚えています?

K:和牛…どうですかねえ…私は小学校の時は大阪だったので、神戸牛っていうのが来ますね。一番先に。

T:この脂って何?って思いませんでした?

K:柔らかさにはびっくりしますよね。
うちもハレの日は、韓国食材で買うお肉ではなく和牛食べてましたね、子供の頃から。やっぱり和牛ですよ。

T:今でも和牛使います?

K:年齢とともに、サシの入り具合っていうのが、たっぷり食べられなくなってきましてね。でも、近江牛のバランスの良さって、和牛の中で一番だって、僕は思いますね。 小さなお子さんからご年配の方まで幅広く皆さんにいつまでも美味しく召し上がっていただける。

T:おお、そうなんですね。それは近江牛のどんな特徴?

K:最近赤身がちょっとブームになって、熊本の赤牛とか注目されているんですけど、市場価値があったり、それこそハレの日に食べたいっていうのはやっぱサシが入った和牛だと思うんです。
で、赤身に対するサシのバランスがすごくいいんですよね、近江牛は。見た目のサシの入り具合もなんですけど、しっかり肉の味がするんですよ。赤身の美味しさもちゃんと伝えてくれるっていう。それが良い部分ですね。海外でも好まれる牛肉の良さと和牛の良さを兼ね備えているっていうのが近江牛のような気がするんですよ。

T:なるほど。
霜降りが和牛の特徴だけど、やっぱり肉の味が欲しいよねえ。

K:そうなんですよ。そこなんですよねえ。今海外でも日本食ブームとかで、和牛の愛好家さんも増えてると思うんですけど、サシが入りすぎていてお肉を食べた気がしないっていう方もいらっしゃるんですよ。 それを考えると、僕は昔から、もう少し赤身の良さを味わえるちょうどいいお肉ってないのかなあって思ってたんですよ。

T:もしかして、それは近江牛の出番かもしれないですねえ。

K:そう思いますね。

ハレの日は、近江牛

T:コウさんは、アジアのあっちこっちに行ってお母さんの味を探してますよね。アジアの国では、家の中で牛肉食べる習慣ってありますかね?

K:いやあ、僕は本当に地方のさらに奥地に行くことが多いので、ないですねえ。 牛肉って、お祭りだったり、正月であったり、そういう時の特別な食べ物ですねえ。

T:本来、牛を食べるのは特別なものですよね。

K:そういう意味では、流通とか発達して身近なものにはなったとは思いますけど、 和牛に対する特別感、スペシャルな感じっていうのは、守っていきたい部分ですよね。ハレの日に食べるっていう。

T:確かにハレの日に、ですよね。見た目もそうだし、値段もそうだし、味もそうだし。なるほどな。
和牛を韓国や他の国で、日本食以外の使い途ってどう思われますか?

K:和牛に関してはサシが多いということもあって、バリエーション的にはどうなのかな?って思うんですよね。難しい。
元々海外で使っているお肉とは全く違うので。
近江牛は、そのバランスの良さで、サシは口に入ってとろけるような柔らかさもあるんですけど、肉の旨味もしっかり味わえるので、利用方法っていうか、料理のバリエーションもって考えると、三大和牛の中でも一番、世界各国の料理で使いやすいと思うんです。

T:滋賀で「じゅんじゅん」ってあるじゃないですか。滋賀のすき焼き。 数か月前だったんですけど、滋賀の農家さんで、じゅんじゅんをごちそうになったんです。家によって作り方いろいろみたいなんですけど、ネギの青い部分と白菜をたっぷりと鉄鍋に入れて、和牛を蓋としてその上に乗せて、じゅんじゅんする。味付けは、お醤油をちょっとかけただけです。 牛肉で出汁を取るっていうのと同じ考え方で、野菜にはいっている水分と肉に入っている旨味。あとは醤油をちょこっと。それだけですね。旨いねー、これは!
僕、その後、家でやってみたんですけど、美味しくないんですよ。結局、砂糖入れてみたり、酒や醤油入れてしまった。やっぱり、レベルの高い近江牛じゃないとあの味でないんですかね。

K:地元の人はやっぱり、地元の肉の性質を分かっているなって、それですよね。性質的に元々持ってるポテンシャルが高いっていうんですか?旨味をすごく秘めた肉なんですよね、近江牛って。

T:あのじゅんじゅんは、まさしく、コウさんが話していた家庭料理。まさにハレの日。だいたい冬に食べるらしいんですけど。特別な日に家族全員が集まって、すき焼き食べる。特別なもんだよね。

K:だからこそ大切に味わいたいですよね、そういう時は。

次世代の和牛、Omi Beef

近江牛のサーロインステーキ。その厚いこと!

(肉が来て)

K:こりゃ凄いねえ。美しいなあ。サシが。

T:あー、(香りが)来てる来てる。ナッツみたいだね。

K:服部幸應さんがおっしゃってたんです。和牛を海外に持って行こうとされていて。いろんな国の肉を集めたバーベキュースタイルのものをやると、香りの違いが明らかで、みんな匂いに釣られて和牛ブースに来るんですって。香りが違う。香りだけでいけますね!

香りだけでいける!

(食べる)

これ興奮するわー!なんですか、これ!
表面のかりっとする部分と、中身のこの味。
肉の旨味がね、スープにも入れてみたいですね。これくらいの旨味とジューシーさを感じるんですからね!
ステーキなんですけど、かりっと揚げた要素と、柔らかいたたきの要素と、ジューシーな旨味のシチューのような要素と、これが味わえる和牛は他にないですよ。
近江牛もっと来ないかな?もっと来た方がいいよ。もったいないよ。
歴史は長いんですけど、次世代の和牛ですよね。今ちょうど、みんなが求めている和牛なんじゃないですか、近江牛は。
サシもあるけど、赤身が旨いよ、ってそれをみんな求めてると思うんです。
肉の旨さも味わいながら、脂も旨いよ、って、これが近江牛。

T:これを400年前、お偉い人がお薬として食べたの分かりますもんね!

K:食べられるものなら毎日食べたい(笑)!

<プロフィール>
●料理研究家 コウケンテツ
大阪府出身。旬の素材を生かした簡単でヘルシーなメニューを提案し、テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍。プライベートでは2児の父親として日々子育てに奮闘中。 親子の食育、男性の家事・育児参加、食を通してのコミュニケーションを広げる活動に力を入れている。
著書は、「今日なに食べたい?」(新潮社)「幸せの野菜ごはん」(文化出版局)、「弁当」(講談社)「コウケンテツのおやこ食堂」(白泉社)など多数。

★ホームページ http://www.kohkentetsu.com/

First Impressions – the cattle of the lake

Tom Vincent

サシと呼ばれる霜降り模様と、口の中で溶ける食感。それは世界でも有名な「和牛」の特徴である。 しかしながら、日本国外で販売されている「和牛」肉のほとんどは、アメリカ、オーストラリア、イギリスなど地元のアンガス牛などと「和牛」を掛け合わせた牛肉であるのが現状だ。

しかし、日本には全国にいくつもの和牛ブランドがある。そして、その最も代表的と言われる三大和牛は、「神戸牛」、「松阪牛」そして「近江牛」とされている。

英語でウェブ検索をすると、「神戸牛」については、たくさんの情報を得ることができる。 そこからも分かるのだが、神戸牛は国外で最も知られているブランドあり、多くの外国人からは「和牛」イコール「神戸牛」と捉えられることが多いようだ。 「松坂牛」についても、情報見つけることができる。 しかし、他の「和牛」と比較し最も古い歴史を持ち、日本食に精通した国内外の料理人などからも味が良いと言われている「近江牛」についての情報は極端に少ない。 いわば、海外において「近江牛」は「幻の和牛」なのだ。

ご存知のとおり、近江とは現在の滋賀である。 「近江牛」は日本のど真ん中の、壮大でとても美しい琵琶湖を囲む滋賀県のものだ。 日本の歴史と食で、世界中に知られる京都に面する滋賀県は、京の都で珍重される食材を供給してきた歴史を持つ。 食の都である「京都の台所」とも呼ばれる理由がここにある。

そして、滋賀の食材の美味しさの秘密は、何よりも県のシンボルでもある琵琶湖にある。 野菜、米、お茶、魚や貝類、醤油、酒、味噌、すべては琵琶湖と、琵琶湖に流れてくる450ほどの川の、透明で美しい水の恩恵なのだ。 近江牛もそのひとつだが、その水の秘密については、後ほど。

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まず、「近江牛」はなぜそこまで評価されるのかが知りたくなり、高島で肉屋と牧場を経営する永谷武久さんに会いに行った。

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永谷さんは大吉牧場の四代目社長。 1986年に永谷大吉氏が創業し、120年もの間、永谷家が「大吉」を経営し続けてきた老舗の肉屋だ。 もともとは肉屋だった永谷さんは、肉屋を継ぎながら、現在500頭もの近江牛を飼育している。 私たちが訪ねると、店に到着し挨拶して間もなく、すぐさま再び車に乗り、近くの小さな山の上にある牧場へと案内された。

私のイギリスの実家は小さな羊牧場なので、動物を清潔かつ静かで幸せな環境に育てる大切さは小さい頃からしつこく言われてきた。 もちろん、それは動物自身のためでもあるが、それだけではなく、幸せな動物の肉は美味しいからなのだ。 人間同様、動物がストレスを感じる時、体内にアドレナリンが発生し、肉が固くなり酸っぱくなる。
ネットでは、工場と呼んだ方がいいような牧場に何千頭の牛が、動く隙間もなく、糞だらけの狭い小屋で飼育されている画像をいくらでも見つけられる。 ほとんどの場合、小さな牧場であっても、清潔な場であったとしても、ツンとくる匂いがする。 永谷さんの牛小屋に向かいながらその覚悟はしていた。 が、永谷さんの牧場は全く違っていた。

おそらく、永谷さんの牛小屋ほど清潔な牧場は今まで見たことがない。 外の地面にも、牛小屋の床にも泥さえほとんどなく、牛の餌箱もピカピカだった。 日本のほとんどの牧場と同じく、永谷さんの牛は室内に飼育されているが、どの小屋も、牛たちは十分に動くスペースを与えられ、頻繁に掃除されていることが見て分かる。 風通しの良い納屋のおかげで、匂いすらほとんどない。 数ヶ月の赤ちゃん牛から、ほぼ完成の大人まで、すべての牛はその環境の中で、穏やかに幸せそうに暮らしていた。 牛らしく最初は若干気人見知りしていた牛たちは、すぐに私たちになれてきて、永谷さんと話している間にも、気がついたら後ろから私のジャケットを噛んでいたずらを始めた。 牛小屋の隣には、片付けられた糞が山積みにされ、それらは数年の自然発酵ののちに地元の米農家が田んぼに撒く栄養豊かな肥料となる。 もしかすると、これも、滋賀県の米の全国的な高評価に一役買っているのかもしれない。

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牧場から店に戻る途中、永谷さんが突然「見せたい場所が…」と、角を曲がって田んぼと山の間に走る小さな道に車を止めた。 そこには石がひとつ立っており、その下に綺麗な湧き水が次々と山から流れてくる。これは「秋葉の水」という湧き水だ。 1年中同じ12度を保つその水は、雪の季節には冷たい手を温め、夏には気持ち良く喉を潤してくれる。琵琶湖に流れる湧き水のひとつで、滋賀の美味しい食材の秘密の元である。 そして、「秋葉の水」は永谷さんの牧場にも流れ、牛の飲み水となっている。隣に置いてあったコップで私も飲んでみた。 すーっと柔らかく、美味しい自然の水。なんと幸せな牛たちなんだ!

事務所に戻ると、永谷さんが肉のさばき方について説明してくれた。 欧米のブッチャーと違い、日本では肉質によって、肉の部位をより細かく食肉として分別する。 滋賀を尋ねる数日前、イギリスからの知人を連れ、久しぶりに築地市場へ行ってきた。 魚屋が大きなマグロを刀のような包丁で切り、さらに細い部位に分けてから、ひとつひとつ布で拭き磨いてから、 まずは白い紙、その上に緑色の紙で包み、ひもで結び、受注した寿司屋や料亭などの料理人のために丁寧に美しく準備する。 魚と比べ、日本では肉屋の仕事場を見る機会はさほどないが、その丁寧かつ美しい仕事ぶりは両者に通じることがあると、永谷さんの説明を聞いて思った。

そして、いよいよ、近江牛を味見することができた。その美味しいこと!

永谷さんのスタッフが、3種類の肉をシンプルに、塩コショウと、肉の味に邪魔にならない程度のタレで用意してくれた。 3つとも特徴的な味と食感があったが、特に2点に気がついた。

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そのひとつ。すぐにとろける食感の和牛は、欧米人の私には柔らかすぎる場合が多々あるのだが、大吉の肉は、和牛らしい柔らかさと、程よい噛みごたえのバランスが素晴らしかった。 そして、ふたつ目は、さっぱりとした油の甘みだった。 和牛の最も有名な特徴である霜降りは、見た目が良いものであっても、過剰な油っぽさが気になる場合がある。 永谷さんの肉にはそれはなかく、日本にはもちろんのこと、欧米人の私も好きな牛肉の味がした。

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永谷さんとお別れし、次に訪ねたのは、自然の湧き水と小川を何百年も前から生活水として使い続けてきた、生水の郷、針江。 透明な川が針江のあちらこちらにも流れ、現在も70件ほどの家の玄関付近や外の小屋に「川端」と呼ばれる洗い場がある。 野菜を洗ったり冷やしたり、米を研いだり、皿を洗ったりする。しかも、使用済み天ぷら油で作られた自然に戻る洗剤を使っている。 川にも川端にも、鯉や琵琶マスが自由に泳いでいる。川端に住む魚は、家族の一員として大切にされているそうだ。 魚たちは、野菜くずや残飯、鍋や皿についた食材などを食べ、水を見事な美しさに保ってくれる。 何百年も前から存在する現代の最先端とも言える持続可能なシステム「川端」を使い続ける針江の皆さんに、環境に優しい生活をしたいと苦労する私たちは考えさせられる。

針江の次に、琵琶湖の北部をさらに回って、ロテル・デュ・ラクという、小さな高級ホテルを訪ねた。 とても洗練された部屋数の少ないロテル・デュ・ラクは、おそらく世界のどこを探しても負けないほど美しいに立地にある。 支配人の田中秀和氏と話しながら、空と水面を染めた湖の上の夕焼けの時を迎え、湖の向こう側に遠くひとつだけ小さく光った灯台の灯りが、唯一目に入った人工物だった。 山下富由起料理長が、ジュンジュン・ソースでいただく近江牛ステーキと、新鮮な野菜のサラダを持ってきてくれた。 ジュンジュンは琵琶湖周辺ですき焼きの呼び方。料理長は、程よい甘さのすき焼きタレ風ソースと近江牛を調理してくれた。 肉もうまかったし、そのソースはあまりにも美味しく、ついお皿に残ったソースに指をつけて最後の一滴まで舐めたくなるほど! フランス料理専門の山下料理長が、フランス料理の技術と、地元の食材と味付けをアレンジした料理を開発し提供することは、 「ホテルは地元と深く共存するべきだ」と語る田中さんの信念の表れのひとつだ。

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琵琶湖の後ろにお日様が眠りに入ったので、最後の近江牛を食べるために彦根まで移動した。 彦根城の入り口近くにある「伽羅」という店では、洋室と和室の静かな個室で、様々な調理法の近江牛を食べることができる。 ステーキも美味しそうだったが、やっぱり近江にはこれでしょう、ということですき焼きを頂いた。 今日はもうお肉は十分だと思っていたのだが、すき焼きを持って来られた瞬間、またよだれが。 美しいバラ色の肉、新鮮な野菜、そして滋賀でしか見かけない赤コンニャク。炭火の火鉢の上で、店員さんがひとつひとつ丁寧に調理してくれて、今回もまた近江牛は最高。 油もさっぱりとした甘さを持ち、歯ごたえも程よく歯と顎を働かせる。うまい!

こうして一日、近江牛の日が終わった。 四百年以上の歴史を持つ近江牛。 牛の飼育の方法、肉屋さんのさばき方、料理人の調理法、どれも最高の神経の使い方と繊細さが見られる。 牛肉が禁じられていた江戸時代、お偉い様がなんとかして逃げ道を作り、「薬」として食卓におけるように工夫したのは納得だ。 アンガス牛やヘレフォード牛と並び、今や和牛は世界のトップ肉ブランドのひとつになったというならば、和牛の最高峰は間違えなく、海外にはまだほとんど知られていない「近江牛」だろう。

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